高速ピストン


この淫猥な場に不似合いな
工具の先に取り付けられたディルドは細めであったが、
通常より狭いサンジの内部は
それでも圧迫感を感じた。
だが、この程度なら何とか耐えられる。
唇を噛み感覚をそらしながら
サンジは内心安堵の息を吐く思いであったのだが。
…男がかちりと本体の電源を入れた瞬間。

「あーーーーーーーーーーー!!!」

無様に穿かせられた女性用の下着。
卑猥に割れた布着れの狭間で、
淡い色合いの蕾に侵入した細身の張子が
信じられぬ速度でピストン運動を開始したのだ。


焼け…る!!!


信じられない。
自分は今電動ハンマーで犯されているのだ。

ローションでぐちゅぐちゅに濡れた柔らかな粘膜を
人の筋肉で行う前後運動では成しえない速度で擦り上げられる。





衝撃に一瞬頭が白み、
次いで突如湧きあがった絶頂感に
長い悲鳴を上げた。

嫌だともやめてくれとも言えない。
脳が言葉を形成できないのだ。

ただ本能のまま叫ぶしかない。

「あ、ああぅ…ッッ」

ビクリビクリと震え強烈な衝動を越えると
工具もまた振動を収めた。

ほんの数秒間であったのに、もう感覚がない。
中に入っているのかすらも。

壊れたのかと、恐怖がじわり涌く。

男の口許が醜悪に歪むのが見え、
思わず悲鳴混じりの懇願が口を突いて出た。

「やめ…!!!」

しかし、言葉は最後まで言わせて貰えず、
意味を成さない絶叫に取って代わられる。

再び始った凶悪な淫具の運動により
瞬時に発生した火傷しそうな熱の中から、
気が狂いそうな快感がサンジをまた絡め取る。


そんな、いったばかりなのに…!!!


数秒で再度サンジは達した。


快感の持続しない射精による絶頂とは違う。
消えない火種が体内に留まり燻り続けているようだった。
手足が痺れ、意味も無く腰を跳ね上げてしまう。
余韻の中その刺激すらも心地よい。

「あ、あ、」

かくん、かくんと腰が揺れただけで、
自慰をしているように気持ちが良かった。

感覚は鈍いのにそれでも感じてしまっている。
形も感触も殆ど認識できないのに、
熟れた内部で快感だけが果てなく広がっている。

でも、もうこれ以上はいらない。
緩く頭を振りながら涙を零す。

本当におかしくなってしまう。


「お前みたいに拷問のような性戯をしても
簡単に壊れないヤツをずっと探していた。
見てくれや感度の良さも条件に入れると
なかなか見付からなかったんだ」


ふいに掛けられた楽しげな声音にサンジはぼんやりと視線を彷徨わせた。


まだ道具は沢山ある。何時間でもいかせてやるよ。


子供のように無邪気に笑い、男は玩具の電源に指を伸ばした。


























幼馴染




久しぶりに顔を見にきたらこれだ。
悪い男ばかりを選ぶ馬鹿な幼馴染が
玩具を固定されたままでベッドに放置されていた。
もしかしたら何時間もこんな状態だったのかもしれない。
物音に驚き見上げてきた青い眼が見開かれ、
掠れた声で名前を呼ばれる。
いや、反射的に漏れた呟きだったのかもしれない。
羞恥に顔を歪め、暫し逡巡し、
それから拘束された手首の鎖をしゃらりと鳴らした。

外してくれ、と。

俺は黙ったまま身を縮めて横たわる白い裸体の隅々にまで視線を走らせた。
黒いビニールテープで留められた二つのリモコンから伸びたコードは
ぴったりとしたきつそうな下着の中に消えていた。
一つは会陰部に、もう一つは更に奥に。

何見てんだよ、外せよ、外せって

癇癪を起こそうにもそんな体力も残っていないようだった。
俺が無表情で近付き、拘束を解かないまま後抱きに抱き起こしても、
罵声すら思い浮かばないのか、
訳が分からないって顔で、何?何してんだ?と只焦って、
それから直ぐに鋭く喘いだ。
玩具からは機械音が漏れ続けている。
座らされたせいで何かか奥深くに食い込んだのだろう。
イッたのかもしれない。抱え込む腕にくたりと重さが加わった。
密着させてみて、体中が時折引き攣れるように痙攣するのが分かる。
泣き出しそうな眼差しが縋り付いて来た。
俺は人好きはされないであろう笑みを浮かべて首筋に唇を寄せる。
エロく舐め上げながら、左のピンク乳首を人差し指で弄った。
やってきた幼馴染は決して救いの使者ではなかったのだと
漸く気付いた幼馴染の表情に悲壮感が滲んだ。
もしくは、恐怖の色、なのかもしれない。
身体は恐らく限界なのだと思う。

…もう、無理…もう、やだ…

声に嗚咽が混じっても、俺は愛撫を続けた。
耳の孔に舌を差し入れ、両方の乳首をきつく摘んだだけで、
跳ね上がった体がぶるぶると震えて弛緩する。
ああ、またイッたんだ。

遠い意識で思う。

締め切った部屋は湿度も温度も不快だ。
俺は着ていたTシャツを脱ぎ捨てベッドに放った。
そうして再び身体を密着させると、火照った背中がぴたりと吸い付いてくる。
キモチガイイ。こんな肌は、そうそう無い。
黒ビキニに指を食い込ませてグイとずらしてみると、
やっぱり会陰の膨らみにはローターが貼り付けられていた。
そして、その奥には緑色のバイブのケツが覗いている。
ゴムのような素材のビキニを穿かせたのは、
このバイブを孔に嵌めておく為だったのだろう。
更に強く引っ張り上げればビキニが尻に喰いこんで、
谷間のバイブを中に押し込んだ。
掠れた悲鳴が上がり、ゆるく振りたくられる頭に金色の光が弾ける。
もう、眼の焦点は合ってなくて、本当に発狂寸前なのかもしれない。



昔。
頭が弱くてまっさらだったコイツに、悪い遊びセックスを教えたのは俺だった。
俺が気持ち良いといえば嬉しそうに笑って、
他人とのコミュニケーションのとり方を知らなかったコイツは、
いつの間にか『友達』にまで簡単に脚を開くようになっていた。

高校生の時。放課後の旧校舎で。
俺は自分のしでかした事に震え上がったんだ。

遊んでるつもりでいたコイツを押し退けて、
気が付いたらコイツに突っ込んでいた同級生の三人を半殺しにしていた。

やめろよ、何でこんなヒドイことするんだよ!

虫の息だった同級生をセイエキまみれの身体で庇うコイツに、

どっちが『ヒドイ』だ、と逆上しかけて、
ああ、俺か。と、すぐに納得した。


大怪我の理由を同級生はそろって黙秘した。
当り前だ。直前まで同性の同級生と性行為に興じていたこともバレてしまう。
どうしたらいいのかわからない。そんな顔で佇むコイツを突き放して、
自主退学という形で俺はさっさと逃げ出した。

感性を狂わせてしまったコイツを見ていたくなかったんだ。


再会は三年後。偶然居合わせた居酒屋でだった。
死神を見たかのように固まる俺に、
こいつは高校生の時と変らない馬鹿みたいな笑顔で、
久しぶりだな、と笑った。

許されるなんて思っていなかった。
俺だって自分を許してなかった。

なのに、何事もなかったかのようにコイツは俺の前で酔っ払って、
…酔っ払って俺に自宅まで送らせて、
仕方なくベッドまで運んだ俺の腕を握ったまま、
子供みたいに安らいだ顔で眠ってしまったんだ。

しっかりと張り付いた指を解こうとすれば
むずがって全身でしがみ付いてくる始末で、
段々面倒になりその内睡魔に負けてしまった俺が目を覚ました時、
朝日に照らされたお前は、おはよう、ってやっぱり笑っていた。
朝飯が冷めると蹴りつける粗暴さも変ってなかった。


一緒に朝飯を食いながら、
恋人はいる。男だけど、ちょっとワルっぽいけど、
でも優しいヤツなんだと、はにかんだコイツは、
自分が不幸であることに全く気付いていなかった。


成り行きでケータイ番号を交わしまったせいで、
男に酷い目に遭わされる度にコイツは俺を呼び出し、愚痴って、泣く。
でも最後は頑張るって笑って、
暫くするとやっぱり泣きそうな声で俺を呼び出した。
昔あったことなんて忘れてしまったのか、
ノンケの俺を気遣ってか、
セクシャルな雰囲気を作り出すでもなく、
ただ時々酔っ払って絡んだまま俺の腕の中で眠りに付いて、
そんな事が繰り返されて一年も経ったころ、
鍵を開けに行くのがめんどくさいからという理由で合鍵を渡された。

こりゃ何本目の鍵だと呆れたら、
きょとんとした顔で、そういえば恋人に渡したことはないなと
思い出したように呟き、

お前は幼馴染だから、トクベツだ。

と、いいかげんなことを言いながらへらりと笑った。



きっと、お前が酷い人間しか選べなくなったのは俺のせいだ。
お前の幼さに突け込んで、幼馴染のままでセックスをして、
好意と愛情の境をぐちゃぐちゃにして。
一番初めに俺という馬鹿を受け入れてしまったせいで、
お前はただ、許すことしか知らない人間になっちまった。
そんな人間が幸福になれる程、この世界は優しくない。
それを知る度に俺は居たたまれなくて吐きそうになる。

中ニの時、女教師の誘惑に流されるまま童貞を切って、
けれど、女の身体は日常に転がっていたものでしかなくて、
性に夢をみていたのだと初めて気付いた俺の幻想は
それから急速に色褪せていった。

俺はただ、隣にいた綺麗なお前とやり直したかったんだ。
優しいキスをして、心が震えるようなセックスをしたかった。

俺は馬鹿だったから
本当は恋がしたかったのだということも
愛し合いたかったのだということも
好きだった、ということにも

気付けないままお前を抱いてしまった。





あの頃と変らない餓鬼のままの俺が
今もまだ金切り声で喚いている。





俺の腕の中で弱々しく震えた身体から力が抜けて、
今度こそ意識を手放した。
それでも俺を受け入れた肉体は時折ぴくりぴくりと
本人の意思に関係なく性器を締め付ける。
この反応が染み付いてしまっているのか。
こういう暴力的なセックスを数え切れない程繰り返してきたのかもしれない。




痩せた身体も、死んだように目を閉じた面も幸福からは程遠く見える。
哀れだと感じるのに絡み付いてくる内部から抜け出せずに居る。
こんな状態なのに擦り上げたいという衝動が込み上げてくる。

きっと、これはもう、狂気だ。






半分正気を失って細い身体を揺さぶった。
何度か最奥を突くと呻きを漏らして覚醒した幼馴染が幼い声の悲鳴をあげる。

ごめん。
地獄はまだ終わっていない。
ごめん、ごめん、ごめん。

心の中で阿呆みたいに繰り返す。

震えながら必死の形相で突き上げる俺に、
一生懸命視線を合わせた幼馴染が、
涙を浮かべた瞳で困ったように言う。





なぁ、

手ぇ、繋ぎたい

手を、繋ごう








戒められたままの手の指が宥めるみたいに俺の腹を滑った。


この可哀想な幼馴染は
自分が不幸であることにこれっぽっちも気付いていない。
覚醒する度に生まれ変わって、
痛いことや辛いことをリセットしてしまっているのかもしれない。



俺はもう、俺をぶっ殺すしか道は無いと思っているのに。



俺の突き上げが止んで、ほぅと息を吐いた幼馴染が
あの頃みたいだな。と、小さく微笑んだ。



























バック




みっともない声なんてあげたくない。
でも段々頭の中が真白になってゆく。











落書き・ぼんやりと玩具ネタ




輪姦後放置。二時間。

振動コントロール
にて、
内外共に寸止め地獄。








射精でも無射精でもいいからいかせてほしいって
泣き喚けたら楽なのに。

男達はポーカーに興じています。
高飛車な獲物のプライドがいつまでもつかの賭けも進行中。

絶頂の寸前白い腹が突き出る度、
早く堕ちちまえと逸る気持ちを抑えて、
玩具の電源をOFF。
タイミングを逃してしまって震える身体に
再び振動。


青い瞳に浮かぶ絶望。
その繰り返し。













カラー・汁・輪姦





後悔はしていない。
相手が飽きるまで身体を差し出せば、捕らえられた仲間を救えるのだ。
最初の内は只の暴力と高を括っていたサンジであったが、男達の巧みな愛撫に次第に余裕を無くしてゆき、二度目の絶頂で初めて無理矢理いかされることの苦痛を知る。
男達はプライドの高いサンジが自身の体液で濡れてゆく様を気に入ったのか、絶頂へと駆け上る途中で精液以外の体液を放出させる所謂潮吹き状態を幾度も繰り返させた。
粘度の無い透明な液体が排尿時のように大量に吹き出る様子は凄まじく、その度に歓声が上がった。
サンジの周囲はぐしゃぐしゃに湿って、身動きするだけで重い水音が響く程だ。
しかも、反応の止まらなくなった腸壁までもが体液を分泌し続け、殆ど垂れ流しという状態にまで陥ってしまっている。
既にその場にいる男達全員の陰茎を受け入れている筈なのに宴は終りを見せず、男達の肉棒に再び力が宿るまでは悪戯に指や舌での愛撫を施され続け、指を突っ込まれて少し刺激されるだけでも難なくいってしまうくらい、サンジの肉体は快楽の虜と化してしまっていた。前立腺ばかりではない。その奥の精嚢までも開発されドクドクと射精を繰り返すのだ。
そうして男達が小休止を取る間も、散々突かれて熟れたS字結腸の入り口は疼き、早く押し広がる位の衝撃が欲しいとサンジに訴えかけてくる。
腸壁をぬるぬると探るだけの愛撫に涙が滲む。
早く指の届かぬ深部を男根で突いて欲しいなどとは死んでも口にできない。
性奴隷になどなるつもりはないのだ。
サンジは漸く再度の挿入を始めたそれを強く睨み付けた。